写真と動画でつづる山と山以外

山に登ったり、登らなかったりします!

鈴鹿の悪谷!滝洞谷

鈴鹿のなかでも一番の悪谷と言われる、「滝洞谷」( ←これなんて読むのん?って感じですが、これは「たきぼらだに」と読みます。)へ沢登りに行って来ました。

イメージ 1

沢登りといっても、この沢は完全に伏流していて水は流れていません。
そのためこの谷を遡行すると、まるで洞窟の中にいるかのような異様な光景が続きます。
鈴鹿の山と谷2という本では
カモシカの通過も不可能なほどの悪絶な廊下帯が連続していて、北部鈴鹿第一の悪谷」
と紹介されていて、石灰岩が侵食されたツルツルの岩壁は急峻。とても遡行困難な谷です。

イメージ 2

土曜日の夜、滝洞谷入り口の墓場で前夜泊。
墓の前というのはいかにも滝洞谷の入り口にふさわしい。

イメージ 3

そこから歩くとすぐに、地形図にも載っている堰堤があります。
この谷は距離にすればとても短い谷で、地形図だけ見ればまさかと思いますが、遡行には8時間ちかくを要しました(5人パーティー)。

イメージ 4

堰堤をこえてすぐの地点。
まだここまでは普通の景色です。(道のようになっている河原のところが、伏流している沢のようです。)

イメージ 5

で、角を曲がるといきなり不気味な景色にガラリと変わります。

涸れた小滝がたちはだかる。

イメージ 6

このあたりはまだ大丈夫。いけそうです。

イメージ 7

つづいてあらわれる樋のような形の滝。
石灰岩はツルツルで、クライミングシューズを履いているにも関わらず滑ります。
慎重に通過。

イメージ 9

鹿の顎骨が落ちていました。
この谷では、脱出できなくなった動物の腐乱死骸がよく見られるのだとか。

イメージ 8

そして、目の前に現れた第一の関門6m涸滝
通称「洞窟ゴルジュ」と言われる難所です。

イメージ 10

この滝は人工登攀(ハーケンを打ったり、アブミと呼ばれるハシゴを使ったりして登攀すること)で登るのが一般的なようですが、つわものはフリー(岩の造形を利用して手足のみを使って登攀すること)で抜けた人がいるとのこと。
では僕もと思いましたが、やってみるとぜんぜん無理そうだったので、おとなしくアブミを使って抜けていきます。

イメージ 11

つづいてHさんが抜ける。

洞窟ゴルジュを上から見下ろす。

イメージ 24

洞窟ゴルジュ上部の小滝は、ヒールフック(踵を岩にひっかけて高い段差を越える技)で越えることで有名。
(Aさんが、僕が登っているところを写真に撮ってくださいました。)

イメージ 12

しばらく河原歩きをするとすぐまた次の滝。

イメージ 13

次の難所、「井戸底ゴルジュ」が見えてきました

イメージ 16

その名は見てのとうりという感じで、まるで井戸の底にいるような滝だからです。

イメージ 17

見た目のおどろおどろしさとは裏腹に、意外と簡単に登れた井戸底ゴルジュ。

イメージ 18

上から見る「井戸底」

イメージ 19

少し危険だったのはその先上部ところで、ここはちょっとヒヤリとしました。

イメージ 14

上から見たところ。この最後のツルツルになってるところへトラバースするのがちょっと怖い。(よく見るとちょっとギザギザになってるところがあり、そこに手足を乗せるとうまいこと通過できた。)

イメージ 15

上がったところは大きな水たまりみたいになっていて、寒いし水も汚いぽいし、入りたくなかったが、左右はツルツルの壁。
仕方なくすそをまくって水につかっていく。

イメージ 20

途中の小滝を行くKさんの勇姿。

イメージ 21

続いてあらわれた最後の難関「迷路ゴルジュ」があらわれました。

イメージ 22

途中カムという登攀具で安全を確保しながら登る。(登ってるところをUさんが写真に撮ってくださいました。)

イメージ 23

まずはここまで登ってから荷物を回収。

イメージ 25

荷物からカメラをとりだし上からパチリ。
広いスペースなので、いざとなればここでキャンプできそう。(何か化けて出そうですが)

イメージ 26

登った先はこのようにU字にえぐれたようなところが続く。
滑るので慎重に登ります。

イメージ 27

滝を登りきったところ。

イメージ 28

むこうに見える山の紅葉が綺麗です。

イメージ 30

続いて登ってくるKさん。

イメージ 29

これで終わりと見せておいて、滝を上がったところに最後の難関が!
さっきの水たまりよりもっと深く、腹までつかりそうな深さ。
命に別状はないものの、さっきより水が腐って汚く絶対泳ぎたくない感じ。
小船を浮かべて向こう側に渡りたい心境。

イメージ 31

見ると左岸が登れそうなので、左岸から巻いて水たまりを避けることに。

イメージ 32

巻き上がった先の木を使って10mほど懸垂下降して沢床に復帰。

イメージ 33

下降した先から先ほどの水たまりを見る。

イメージ 34

イメージ 35

そこから先の小滝を越えると突然沢の水が流れ出して、渓相が嘘のように穏やかになった。
この沢はいったいどうなってるんだ?
Uさんが「地底に水が逃げて鍾乳洞みたいになってるんじゃないか」みたいなことを言っていたが、どうなんだろうか。
もしそうなら
カッコイイなあ。

イメージ 36

イメージ 37

そのまま沢を遡上していき、二股に分かれたところを北西の尾根筋から詰めあがっていくと茶野のピークに出た。
サワヤカー!

イメージ 38

そこから先は不明瞭な道で、たまに迷ってまた滝洞谷へ降りていってしまう人もいるとか。
ベテランUさんの先導で慎重に下っていきます。

イメージ 39

薄暗くなってきましたが

イメージ 40

ギリギリ暗くなる前に下山してこられた。
なかなか歯ごたえのある谷でした。面白かった!