扇沢から裏銀座と読売新道5 烏帽子から三ツ岳を経て野口五郎付近
烏帽子岳から先は裏銀座コースという人気コースです。
今までの荒れ道から一転とても歩きやすい道で山も美しく、一歩一歩幸せをかみ締めながら歩きました。
三ツ岳を過ぎたあたりからだんだん日が沈んで、自分の影が伸びてきました。
野口五郎岳へ向かう途中の道で、ふと東側の斜面を見ると、下の方に何か黒いものが動いているのが見えたので、なんだろうと目をこらしてみると、なんと熊でした。
遠くのほうなので襲われたりする心配もないのですが、いちおう近づいてこないよう、こちらの存在を知らせるために、ステッキを岩に打ち付けてカーンカーンと高い音を鳴らしてみました。
熊は聞こえたのか聞こえていないのか、まったくの無反応でした。
その後、野口五郎小屋までたどりつかないままついに日が暮れてしまいそうになったので、幕営することにしました。
ほんらいは指定地以外の幕営は禁止されていますが、日が暮れて歩くのも危険なので仕方なくです。
この日も行動時間は13時間以上に及び、クタクタになりました。
稜線上なので夜中は風が強くなるだろうと思い、辺りに生える這松を見ると、西から東の方向に向いて生えているので、風は西から吹いてくるものとわかりました。ですので、近くの岩で西を背にしてテントを貼りました。
夜、横になっていると、テントの周りで「ザッザッ」と足音がしました。
僕ははじめに
「これは誰かが来たんだろうか?こんなところにテントを貼っているので怒られるだろうか?」
と思いましたが、その足音はずっとテントの周りを歩くだけで声をかけて来たりはしませんでした。
そこで、僕は夕刻に見た熊のことを思い出しました。
「もしやこの足音は熊ではないのか?珍しいテントに警戒して様子を見ているのではないか。熊はやがてこのテントを襲ってくるのではないだろうか?」
と思い当たると、急に恐ろしくなりました。
「このままではいけない」と思った僕は、熊をビックリさせて追い払おうと思って大きな声で咳払いをしてみました。
すると、足音はピタリと止んだので「これはビックリしてどこかへ逃げたかな?」と思いましたが、しばらくするとまたザッザッと再び足音がしました。
僕は怖くなって、ガタガタと震えました。
ふと思いついて、iphone(携帯電話)で音楽を流しておけば、熊は警戒して近づいて来ないかもしれないと思い、iphoneの電源を入れました。
熊除けの鈴の音のことを考えると、高い音のほうが良いのではないかと思い、女性ヴォーカルのプレイリストを探すと、ぱっと「宇多田ヒカル」が目についたので、「宇多田ヒカル」の歌を大音量でかけることにしました。
シャッフル再生だったので、たくさんある曲の中からランダムで曲が流れます。
1曲目がなんだったかはよく覚えていないのですが、2曲目が再生されると、なんと
「ぼくはくま」
http://www.youtube.com/watch?v=DMeCacvpRNo
という曲が流れてきました。しかも二曲連続で。
すごい偶然。しかしはっきりいってぜんぜん笑えない心境です。
体が恐怖でガタガタ震えて自分でも止まらない。
僕はついに意を決してテントの外にガバッと飛び出ました。
すると
テントの周りには何者もいませんでした。
足音だと思っていたのはテントのフライシートが風で地面をたたく音だったのでした。
自分の肝の小ささを思い知らせれた夜でした…。
空を見上げると満点の星が怖いくらいに綺麗でした。
今までの荒れ道から一転とても歩きやすい道で山も美しく、一歩一歩幸せをかみ締めながら歩きました。
三ツ岳を過ぎたあたりからだんだん日が沈んで、自分の影が伸びてきました。
野口五郎岳へ向かう途中の道で、ふと東側の斜面を見ると、下の方に何か黒いものが動いているのが見えたので、なんだろうと目をこらしてみると、なんと熊でした。
遠くのほうなので襲われたりする心配もないのですが、いちおう近づいてこないよう、こちらの存在を知らせるために、ステッキを岩に打ち付けてカーンカーンと高い音を鳴らしてみました。
熊は聞こえたのか聞こえていないのか、まったくの無反応でした。
その後、野口五郎小屋までたどりつかないままついに日が暮れてしまいそうになったので、幕営することにしました。
ほんらいは指定地以外の幕営は禁止されていますが、日が暮れて歩くのも危険なので仕方なくです。
この日も行動時間は13時間以上に及び、クタクタになりました。
稜線上なので夜中は風が強くなるだろうと思い、辺りに生える這松を見ると、西から東の方向に向いて生えているので、風は西から吹いてくるものとわかりました。ですので、近くの岩で西を背にしてテントを貼りました。
夜、横になっていると、テントの周りで「ザッザッ」と足音がしました。
僕ははじめに
「これは誰かが来たんだろうか?こんなところにテントを貼っているので怒られるだろうか?」
と思いましたが、その足音はずっとテントの周りを歩くだけで声をかけて来たりはしませんでした。
そこで、僕は夕刻に見た熊のことを思い出しました。
「もしやこの足音は熊ではないのか?珍しいテントに警戒して様子を見ているのではないか。熊はやがてこのテントを襲ってくるのではないだろうか?」
と思い当たると、急に恐ろしくなりました。
「このままではいけない」と思った僕は、熊をビックリさせて追い払おうと思って大きな声で咳払いをしてみました。
すると、足音はピタリと止んだので「これはビックリしてどこかへ逃げたかな?」と思いましたが、しばらくするとまたザッザッと再び足音がしました。
僕は怖くなって、ガタガタと震えました。
ふと思いついて、iphone(携帯電話)で音楽を流しておけば、熊は警戒して近づいて来ないかもしれないと思い、iphoneの電源を入れました。
熊除けの鈴の音のことを考えると、高い音のほうが良いのではないかと思い、女性ヴォーカルのプレイリストを探すと、ぱっと「宇多田ヒカル」が目についたので、「宇多田ヒカル」の歌を大音量でかけることにしました。
シャッフル再生だったので、たくさんある曲の中からランダムで曲が流れます。
1曲目がなんだったかはよく覚えていないのですが、2曲目が再生されると、なんと
「ぼくはくま」
http://www.youtube.com/watch?v=DMeCacvpRNo
という曲が流れてきました。しかも二曲連続で。
すごい偶然。しかしはっきりいってぜんぜん笑えない心境です。
体が恐怖でガタガタ震えて自分でも止まらない。
僕はついに意を決してテントの外にガバッと飛び出ました。
すると
テントの周りには何者もいませんでした。
足音だと思っていたのはテントのフライシートが風で地面をたたく音だったのでした。
自分の肝の小ささを思い知らせれた夜でした…。
空を見上げると満点の星が怖いくらいに綺麗でした。